2000年の5月に新婚旅行で4年ぶりにミラノを訪ねたが、前回、ミラノの町で驚いたことがある。
子どもたちが、新聞や段ボールに何か書かれた物を高く掲げ、私を取り囲み体を弄るのであった。
ミラノっ子に注意されたのは、それがジプシーのスリの集団であったということである。
少し離れた所にスリのボスである母親のような女が成果を待っているのであった。
子どものスリの集団には、文化的なショックというより、人間として衝撃を受けた。
ここには、生きるために盗むことを仕事にする子どもたちがいると。
ミラノからヴェネツィアに向かう車窓に映る風景は、正にイタリアそのものであった。
途中、ヴェローナに停車した特急は、ほぼ時間通りにヴェネツィアに到着した。
車のない町であるヴェネツィアは、移動は水上タクシーかヴァポレットと呼ばれる水上バス、それに歩きのみであったが、迷路の街は、私を幻想の世界に誘った。
この街を舞台に、シェイクスピアが『ベニスの商人』を、トーマス・マンが『ベニスに死す』を著し、多くの歴史上の人物達が、逗留したのである。あのナポレオンも。
夕食は、ヘミングウェイやオーソン・ウェルズでも有名な『ハリーズ・バー』で、まず食前酒にドライ・マーティニを注文し、ジェームズ・ボンドを気取った。
このヴェネツィアにも4年後、妻と一緒に二度目の訪問を果たすことになる。
Mr. Cloud
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